【白山市】地縁団体について

皆さんこんにちは。白山市議会議員の藤田政樹です。今回は、「地縁による団体の認可制度」についてお話ししたいと思います。町内会や町会、区などといった地域コミュニティは、昔から地域の安全や安心を支え、住民のつながりを深める重要な役割を担ってきました。一方で、これらの団体は一般的に「権利なき社団」と位置付けられており、不動産の登記名義人となれないなどの課題が存在します。しかし、地方自治法では市長の認可を受けることで法人格を取得し、団体名義での不動産登記や契約行為ができる制度が設けられているのです。これを「認可地縁団体」と呼びます。

認可地縁団体になるための要件

  1. 良好な地域社会の維持・形成に資する共同活動を行うこと
    たとえば、回覧板を用いた情報共有や清掃活動、防犯・防災、集会所の運営など、地域の安心・安全を守る活動がこれに該当します。
  2. 区域が客観的に明確であること
    町名や字名、地番などで区域を示せるのはもちろん、道路や河川などで明確に区切られていると、第三者にも分かりやすくなります。
  3. 区域内の全住民が構成員になれること
    国籍や年齢、性別による制限は設けられず、世帯単位ではなく個人単位で加入できることが必要です。また、実際に区域内の相当数の住民が加盟していることが求められます。
  4. 規約を定めていること
    団体の目的や名称、区域、代表者、資産管理、会議の運営方法、規約変更時の手続きなどを明文化した規約が必要です。将来的に団体を解散する場合の処理方法も含め、明確に定めておくことが望ましいでしょう。

法人格を得るメリット

  1. 団体名義での不動産登記や契約が可能
    法的主体として扱われるため、これまで個人名義になっていた集会所などを団体として所有・管理することが可能になります。
  2. 不動産登記の特例が受けられる場合がある
    たとえば、相続登記が困難な不動産を複数の個人名義で所有していた場合、一定の要件を満たせば、認可地縁団体が単独で登記移転の申請を行えるケースもあります。

認可地縁団体としての義務

  1. 毎年1回以上の総会を開催
    書面や電磁的方法による決議で済ませる際は、事前に全構成員の承諾を得なくてはなりません。
  2. 告示事項の変更届出
    団体名称・目的・区域・主たる事務所の所在地・代表者の住所や氏名などに変更があった場合、市長へ届け出が必要です。
  3. 規約変更には総会承認と市長の認可
    規約を変更する場合は、総会で議決を得たのちに改めて認可を申請します。
  4. 財産目録の作成と備え置き
    毎年1月~3月の間に財産目録を作成し、団体の事務所に保管しておきます(提出の義務はありません)。
  5. 構成員名簿の整備
    加入・退会などに応じて変更を反映し、常に最新の状態で保管します。認可申請時には市に提出が必要です。
  6. 正当な理由のない加入拒否や不当な差別の禁止
    区域内に居住する方なら、誰でも加入できる体制を整えなければなりません。
  7. 特定政党のための利用禁止
    地域の公共的な団体として、公正・中立な立場を保つことが求められます。

認可申請の流れ

  1. 総会の議決
    まず、認可地縁団体として申請することを総会で議決し、議事録を作成します。
  2. 必要書類の準備
    • 認可申請書
    • 規約
    • 総会での議決を証明する書類(議事録など)
    • 構成員名簿
    • 前年度の事業報告書など、現在の活動状況が分かる資料
    • 代表者が正式に選ばれたことを示す書類

これらを市に提出し、認可が下りれば無事「認可地縁団体」として登録されます。

認可後に変更が生じたら

  • 規約の変更
    「規約変更認可申請書」に加え、総会での議決書類(議事録など)を添えて申請します。
  • 代表者や名称などの告示事項変更
    「告示事項変更届出書」を市に提出し、変更があった旨を証明する書類(議事録の写しなど)も提出しましょう。

また、代表者変更に伴う印鑑登録の手続きや、印鑑登録証明書の取得なども併せて行う必要があります。

地域の未来を育むために

この認可地縁団体の制度を活用すれば、町内会や区といった地域団体が法的に強固な基盤を持ち、不動産や各種契約を「団体」として扱うことができるようになります。結果として、長年にわたり住民によって支えられてきたコミュニティ資産をスムーズに次世代へ引き継ぐことが可能です。

防災・防犯から行事やイベントの企画まで、地域の課題解決や住民同士の助け合いには欠かせない活動を、より安定的に進めるためにも、認可地縁団体の制度をぜひ検討してみてください。市役所などの行政窓口に相談し、地域の特性や運営方法を踏まえて準備を進めることが大切です。

地域は人と人とのつながりが土台です。互いを思いやり、助け合うことで、災害や高齢化といったさまざまな課題にも柔軟に対応できます。認可地縁団体がそうした結束力を高める一助となり、地域の暮らしをより豊かにすることを、私自身も心から願っています。

今後も白山市の皆さまの声に耳を傾けながら、さまざまな情報をお伝えし、地域の活性化に向けて行動してまいります。